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特集 糖尿病診療のアート
名人からコツを学ぶ
患者と医療者を繋ぐもの―糖尿病診療の放置,中断を防ぐためのアート
How to bridge between patients and medical professionals
山田 憲一
1
1山田憲一内科医院
キーワード:
①慢性疾患
,
②中断
,
③コミュニケーション
,
④医療連携
,
⑤継続
Keyword:
①慢性疾患
,
②中断
,
③コミュニケーション
,
④医療連携
,
⑤継続
pp.141-145
発行日 2009年3月15日
Published Date 2009/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415100924
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糖尿病をもつ患者さんが来院しなくなる場合の患者さん側の理由として以下のことが挙げられる.①死亡,②転居,③転院,④医療保険証の喪失,⑤経済的事情,⑥来院の時間がとれない,⑦勝手に良くなったと判断した場合,などがある.医療機関との関わりの中では,①待ち時間が長い,②採血に恐怖感を持っている場合,③説明が機械的,④粗雑な対応,⑤治療に対する不満,⑥時間外の対応に対する不安,⑦他の医療機関との連携が希薄,などがある.いずれにしても中断例においては合併症の進展ばかりではなく,医療費の問題も関わってくる.
糖尿病などの慢性疾患において,「慢性」という意味は疾患そのものが治癒せず生涯に渡る長い疾病であるという意味ばかりではなく,皆医療保険のあるわが国では,転居や医療機関への不満がない場合は患者さんと医療者との関係が長きに渡って継続するという意味でもある.患者さんが継続し安心して治療に取り組むには,よりよい両者のコミュニケーションの基盤が大切である.本稿では3つの症例を提示した.1例目は患者さんの不安や不満な気持ちを受け止めること.2例目はコントロール不良例において密接なコンタクト(Close Contact)をとることにより改善した症例.3例目は中断により合併症が進展してしまった例であり,どのように関わっていったら治療の中断や放置を防げるかの手掛かりを探ろうと思う.
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