Master Lecture●糖尿病外来診療入門 第6回
糖尿病腎症の初診時のコツ
赤井 裕輝
1
1東北労災病院糖尿病代謝内科
pp.585-592
発行日 2007年11月15日
Published Date 2007/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415100742
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患者インタビューのしかた
糖尿病腎症患者の初診時の問診で重要な点は,医療者側が知りたいことを質問しながら要所要所で説明を加えていくことである.腎症を悪化させて受診した患者の糖尿病に関する認識は,知らない訳ではないのにすべてのポイントでの認識が少しずつずれていて,全体的には全くの方向違いになっているからである.しかもしばしばその患者は専門家からの質問や説明を巧みにかわすタイプであったりする.どこから手を付けて良いか途方に暮れるのであるが,聞き取りながら患者の認識の誤りを指摘し,それを是正することは有用な方法である.
聞き取りにはまず,健診を受診していたか,全く医療機関にはかかったことがなかったのか,初めての高血糖の指摘はいつでどんなきっかけであったか,治療開始はいつからできっかけは何であったか,どのくらいの放置期間があったか,治療中断はなかったかがまず必要である.わかるならばアルブミン尿および蛋白尿の出現はいつか,高血圧を指摘されているか,またそれはいつからか,下肢の浮腫などに気付いたのはいつか,視力は,網膜症のステージは,眼科ではどんな治療を受けているかなどが必要である.首尾良い答えは少ないので,ポイントで説明を加えることである.
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