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特集 経口薬治療の質を高める10のポイント―経口血糖降下薬の功罪をわきまえる―
経口薬併用療法の功罪―糖尿病治療の理論的根拠
Merits and demerits of combination therapy for type 2 diabetes. Rationale of pharmacotherapy for type 2 diabetes
鈴木 研一
1
1鈴木研一内科クリニック
キーワード:
食後高血糖
,
腹部膨満感
Keyword:
食後高血糖
,
腹部膨満感
pp.519-522
発行日 2005年5月15日
Published Date 2005/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415100546
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Case 食後過血糖改善薬の併用にて腹部膨満感を突然訴えた高齢者の糖尿病患者
患者:T.K.,78歳,男性.
既往歴,家族歴:特になし.
現病歴:某病院にて糖尿病教育入院を行った.その際は食事療法で糖尿病のコントロールが良好であったが,70歳になってファスティック(R)30mg3錠にて糖尿病のコントロールを受けた.このときはHbA1C7.5%から5.9%に改善した.しばらく安定していたが,75歳に食後過血糖250mg/dLを超えるようになり,踵に皮膚潰瘍が出現するようになったのでα-グルコシダーゼ阻害薬(ベイスン(R)0.2mg3錠)を併用した.これによりHbA1Cが6.3%から5.5%に改善していた.
2004年11月(78歳)朝,突然,嘔気,嘔吐あり,便秘もあったとのことで来院.血糖値が空腹時で274mg/dLであった.脱水もあり別の病院に入院.各種検査の結果腸管ガスが大量に貯留していたが,内視鏡などの検査では異常が認められないとの報告であった.
結論として,今回の問題は腸管ガスが大量に貯留したために腹部膨満感が出現し,嘔気,嘔吐,脱水をきたしたものと判明.α-グルコシダーゼ阻害薬がその原因と考えられた.現在はα-グルコシダーゼ阻害薬を中止しファスティック(R)単独に戻して糖尿病治療を行っている.
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