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特集 患者さんに上手に説明するための17の秘訣
糖尿病治療と低血糖
Hypoglycemia
八幡 和明
1
1長岡中央病院内科
キーワード:
①低血糖
,
②拮抗ホルモン
,
③無自覚性低血糖
,
④グルカゴン注射
Keyword:
①低血糖
,
②拮抗ホルモン
,
③無自覚性低血糖
,
④グルカゴン注射
pp.614-617
発行日 2006年7月15日
Published Date 2006/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415100263
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低血糖の病態生理は
私たちの脳細胞は活動のエネルギーを100%ブドウ糖に依存しているので,血糖値の低下は脳にとってきわめて危険である.そのために生体には様々な防御システムが用意されている.内分泌系の反応では血糖値が80mg/dL付近まで低下するとまずインスリンの分泌が抑制される.70mg/dLくらいになるとグルカゴン,アドレナリンが分泌され,さらに60mg/dL以下になると成長ホルモン,コルチゾールなどが分泌されて血糖値を上げるように作用する(counter regulatory hormone).
神経系の反応としてはneurogenic(自律神経系)とneuroglycopenicに分けられる.血糖値が70mg/dLくらいになると副交感神経が刺激され空腹感,あくびなどの症状が出る.50mg/dLまで低下したときの反応では交感神経系が動員され動悸,発汗,振戦などの症状が出現し警告を与える(warning sign).このときまでに適切な対処ができれば問題ないのだが,血糖値がさらに低下して50mg/dL以下になると中枢神経系の機能不全による頭痛,めまい,目のかすみなどの症状が出現し,さらには奇異行動,麻痺,けいれん,昏睡など危険な事態に陥ってしまう.ただしどのような症状が出るのかは個人差があり,人によって出やすい固有の症状がある.
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