Japanese
English
特集 患者さんに上手に説明するための17の秘訣
インスリン治療が必要な理由と注射の実際
Good approach to a patient to accept insulin therapy
石井 均
1
1天理よろづ相談所病院内分泌内科
キーワード:
①ブドウ糖毒性
,
②β細胞機能
,
③絶対適応
,
④相対適応
Keyword:
①ブドウ糖毒性
,
②β細胞機能
,
③絶対適応
,
④相対適応
pp.590-592
発行日 2006年7月15日
Published Date 2006/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415100256
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
血糖をコントロールする3つの理由とは
高血糖症状を来す頻度は高くないが,あるとインスリン導入の同意は得られやすい.高血糖が続くと膵臓のβ細胞からのインスリン分泌が低下する.これをブドウ糖毒性と呼んでいるが,これには2つのメカニズムがある.第1は「ブドウ糖不応性」で,血糖に対するインスリン分泌反応が低下するものである.これは高血糖を是正することによって回復する.第2は「狭義のブドウ糖毒性」で,インスリン生合成の低下とβ細胞数の減少を来す.経口血糖降下薬の二次無効例で認められる.2型糖尿病患者では年々インスリン分泌能が低下していくが(UKPDS,Box 1),ブドウ糖毒性の関与が考えられる1).
したがって,不良な血糖コントロール(少なくともHbA1Cで8%以上)を放置せず,早くインスリン治療をすることによって,ブドウ糖毒性を解除することが,「自分のインスリン分泌を改善し,かけがえのない膵臓β細胞を守ることになる」.しかし,本人の努力に関わらず内因性インスリンが低下していくこともある.
Copyright © 2006, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.