再評価後の漢方治療入門―もう一度随証治療・15
男性不妊と女性不妊(その2)―補中益気湯と当帰芍薬散,桂枝茯苓丸
坂口 佳司
1
1坂口循環器科内科医院
pp.267-269
発行日 2000年3月15日
Published Date 2000/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414902954
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女性不妊の漢方治療として,当帰芍薬散,桂枝茯苓丸,四物湯,桃核承気湯,温経湯などが有効に使用されるという報告がみられる1).今回から2回にわたって,不妊症に用いられる処方の中から当帰芍薬散と桂枝茯苓丸について取り上げることとする.
この2つの処方は,駆瘀血剤として知られている.瘀血(J1)とは漢方特有の病理概念で,現代医学的には対応する概念がない.約20年前,科学技術庁の研究班によって精力的に研究された経緯もあり,その結果,寺沢の瘀血スコア(J2)という一種の診断基準が提唱されるに至った2).この研究は,最も漢方的な概念である瘀血に,現代医学的な手法を初めて用いたものとして評価できるものであるが,残念ながら,その後の研究の発展が行われていない.
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