Update '98
systematic review・4―SRの数値データの用い方
大西 弘高
1
1佐賀医科大学総合診療部
pp.521
発行日 1998年6月15日
Published Date 1998/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414902491
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最近,日々の臨床において,臨床研究の結果としての「エビデンス」を重視しようというevidence-based medicineの考え方が浸透してきています.systematic review (SR)は,最もバイアスが少なくなるように,様々な研究結果を統合した2次的なデータを示すことができますが,実際にそのデータを解釈するのはやや困難を伴いました.しかし,近ごろのSRは,患者にでも理解可能なぐらい明確な指標を用いて,データを示す努力をしています.今回は,SRのデータの読み方について,特に治療や副作用をテーマにしてお知らせします1).
従来は,相対危険減少率が治療効果を表すために用いられていました.しかしSackettは,NNT (number needed to treat)という,1例の効果を観察するために,その治療を何人の患者に施せばよいかを表す新たな指標を提唱しました2)3).NNTは,絶対危険減少率の逆数であり,慣れれば容易に計算可能です.また,多くの場合,整数なので覚えやすいのも特徴です.例えば,片頭痛の治療として,aspirinとmetoclopramideを用いたときのNNTは3,術後の深部静脈血栓症の予防として,弾性ストッキングを用いたときのNNTは9と,両者とも,比較的よい治療になり得ることが分かります4)5).
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