いま開業はおもしろい
診療所の魅力
畑 恒士
1
1あいち診療所野並
pp.563-564
発行日 1996年6月15日
Published Date 1996/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414901856
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診療所の魅力
あいち診療所野並が「受け手になったときに安心できる医療システムの構築」を目標に掲げ開設したのは4年前にさかのぼる.私たちは前の病院で在宅医療に取り組む中で,在宅医療を取り巻くシステムがあまりに未熟であることを痛感した.しかし病院という大きな組織の中では,病院の外の人間に対して自分の責任だけでものを言うことができないという制限が加わっていた.外に対してものを言うには内部での十分な議論が必要であったが,残念ながらその時間的余裕は私たちにはなかった.のんびりしていると「在宅医療ブーム」の中での模索の時代は過ぎてしまい,今の病院医療のように保険点数に縛られた医療活動しかできなくなってしまう.診療所という小さな単位だからこそ,大きなリスクを背負わずに自分たちが善かれと思ったことを直ぐに試すことができるのだ.これが私たちにとっての診療所の魅力である.
患者の側から言えば,診療所の規模であればそこの職員全員と知り合うことができる.これからの医療は医師だけで行えるものではないことに患者が気が付き始めている.自分に対してサービスを提供するスタッフの顔がイメージできるか否かで患者の安心感に大きな差がでる.よく知ったスタッフに対しては患者も言いたいことが言いやすくなり,サービスも細やかなものになるのだ.
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