漢方診療室
病因不明の発熱を伴い腹痛を繰り返す女性
星野 恵津夫
1
1帝京大学医学部第2内科
pp.273-274
発行日 1996年3月15日
Published Date 1996/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414901782
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Case
32歳,女性.数年前に第1子出産後,蕁麻疹や鼻炎などのアレルギー症状がみられるようになった.1年前および1カ月前に腹部全体の痛み,発熱,嘔吐,下痢を訴えて近医に1週間ずつ入院したが,この際に白血球増多を認められている.1991年4月15日当科受診.上部消化管内視鏡,注腸造影,全結腸および終末回腸30cmまでの内視鏡,小腸造影,腹部超音波などの諸検査で異常を認めなかった.ツベルクリン反応は25×20mm/70×56mm強陽性を示した.この間1991年5月11日から同様の症状が出現し,CRP13.8,赤沈54mm/h,WBC10,300/μl,便潜血(1+),尿蛋白(1+)であった.1991年8月31日頃から左下腹部痛と微熱が持続した.肺野には特記すべき異常は認めなかったが,腸結核の可能性を考えて1991年10月22日からリファンピシン,INF,エサンブトールを投与したが,10日後に全身の発疹と掻痒感が出現したため中止,漢方治療を行うこととした.
便通は1日1回,夜間尿・冷え性・自汗・口渇いずれもなし.生理は30日型で順調だが生理痛は強い.脈は浮沈間で弦脈,緊張中等度.腹力は中等度で両側の胸脇苦満と心下溶鞭を中等度に認める.軽度の膀上悸と膀の左下の圧痛を認める.舌はやや乾燥し,中等度の白苔をみる.
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