和漢診療ケーススタディ リフレッシャー・コース・6
癌に対する漢方治療
星野 恵津夫
1
,
衞藤 公治
2
,
寺澤 捷年
3
1帝京大学第2内科
2衞藤医院
3富山医科薬科大学和漢診療学
pp.553-557
発行日 1993年6月15日
Published Date 1993/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414900878
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症例
患者 48歳,男.主訴 食欲不振,下腹部痛.
約2カ月前から食欲不振と不眠が出現.2カ月間で体重は7kg減少した.数日前から下腹部痛もみられるようになり受診.上腹部および左下腹部に硬い腫瘤を触知する.消化管の検索でスキルス胃癌,その骨盤内転移によるS状結腸の狭窄,および癌性腹膜炎を認めた.入院後,メソトレキセート/5FU/ロイコボリンによる化学療法を4クール行い,また腹腔内にピシバニールを投与した.しかし食欲不振は相変わらず続いていたため漢方治療を行うこととした.漢方的診断では,便通は便秘と下痢の繰り返し,夜間尿1回,発汗傾向・冷え・口渇なし,脈はやや沈・やや細・緊張中等度,舌はやや乾燥し,白黄苔あり.腹候では腹力はやや充実し,両側の胸脇苦満と腹直筋の全長にわたる緊張をみる.
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