困っている症例
ふらつきと全身倦怠感があり,他院にてプレドニゾロンを投与されていた症例
大西 利明
1
1大西内科医院
pp.17
発行日 1993年1月15日
Published Date 1993/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414900692
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副腎皮質ホルモン剤は慢性関節リウマチや喘息の患者に使用されるが依存性があり離脱困難な症例がある.今回全身倦怠感に対し使用され,そのような症例を経験したので報告する.
症例は63歳,女性.病歴:13年前より移動性の背部痛,強い全身倦怠感あり.左膝関節痛(+).7年前に某病院にて甲状腺左葉腫大を指摘.3年前より近医に通院.マイクロゾームテスト1,600倍のため膠原病と診断.Prednisolone投与20→5mg/日を継続.同薬を開始され,背部痛は消失.膝関節痛(-).しかし,手足の冷えなどが続くため来院.口渇(+)目のしょぼつき(+)立ちくらみ(-).身体所見:中肉中背,血圧92/64mmHg,顔貌:無気力,色白,甲状腺腫:表面凹凸不整.関節に異常なし.起立性低血圧(-).橋本病とSjögren症候群が疑われた.検血ではBUN 23mg/dl (7~20),Cl 109mEq (98~108), WBC 8,600(分画正常)以外異常なし.抗核抗体40倍未満(40倍未満),SS-A抗体,陰性,SS-B抗体,陰性.1週間のPrednisolone休薬後のCortisol 9.2μg/dl (4.4~17.4),ACTH 23 pg/ml (6.1~55).乾燥性角結膜炎(-).小唾液腺生検に炎症所見なし.
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