日常診療のOne Point Advice
肝臓病の診断ALP, ZTTが異常の時
田中 延善
1
1福井県済生会病院内科
pp.1049
発行日 1992年12月15日
Published Date 1992/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414900661
- 有料閲覧
- 文献概要
近年,各種肝炎ウイルスの検出や様々な肝機能検査が開発され,その結果もすぐに得られることから,肝臓病の発見,診断が比較的容易になっています.一方,日常診療やドックで行ういわゆる一般肝機能検査では,その判断に迷うこともしばしばで,また,肝以外の疾患にまたがった検査ではだまされることもあります.ALPは,胆管系酵素として各種肝・胆道疾患で異常を示します.ALPの上昇を見た時,思い出していただきたい疾患の一つが原発性胆汁性肝硬変(PBC)です.中年女性に多い胆管の炎症を示す疾患ですが,抗ミトコンドリア抗体の測定が容易になったことより症候性PBCのみならず症状のない無症候性PBCがよく診断されます.なお,甲状腺疾患や骨疾患(悪性腫瘍の骨転移など)も忘れないでいただきたい.
52歳の男性例ですが,以前よりドックなどでALP高値を指摘され,いつも肝精査を受けていたとのこと.念のため甲状腺ホルモンを測定すると明らかな甲状腺機能亢進症と診断されましたが,甲状腺機能異常を示す症状もなく甲状腺腫大も軽度でした.
Copyright © 1992, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.