Generalist and Specialist
Generalist, Specialistに望むこと―あらゆる機会を利用して情報の入手を
井村 裕夫
1
Hiroo Imura
1
1京都大学
pp.279
発行日 1992年4月15日
Published Date 1992/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414900392
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良き臨床医であることが難しい時代になったと,つくづくと思う.Specialistは専門領域のめざましい技術革新と移しい情報の洪水への対応に手一杯で,専門外のことに注意を払ういとまがない.当然患者さん全体を見ることは苦手となり,専門の病気だけを見てしまう.一方Generalistはすべての分野に目を配ることは不可能で,古い知識しか持ち合わせていない分野が生じてくる.そして常に時代遅れになるのではないかという脅迫観念にさいなまれる.
私はSpecialistになる人も最初の2~3年はGeneralistとして広く臨床に携わったほうがよいと考えている.京都大学では臨床系大学院は2年以上の研修歴がないと受験資格がないとしているのもそのためである.そうすることによってGeneralistの立場が理解でき,将来のSpecialist-Generalistの連携がうまくいくだけでなく,常に広い範囲の問題に興味を持つようになる.私は大学を卒業し,1年の実地修練の後,3年半ほどを大学病院と第一線の病院で過ごした.この間最初に論文にまとめた症例報告は先天性溶血性貧血―遺伝性球状赤血球症であった.今もその分野の論文が目にとまるとつい読んでしまう.幅広い関心を持つことは研究者としては欠点となることもあるが,臨床家にとっては長所であろう.
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