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はじめに
“研究”と一言で表現してもその内容はさまざまですが,1つの疑問や問題に対して,論理的に考え,時に実験的な検証をして解決することが全ての“研究”活動に共通するものであると私は考えています.
臨床検査技師の現場はすなわち各検査室であり,そこで発生する日常業務上の問題や課題,あるいは大小さまざまな疑問は,その場で業務に従事するわれわれ臨床検査技師が解決しなければなりません.時に,日常業務の延長線上にある小さな実験や検討は研究として認識されていないこともあるかもしれませんが,冒頭で申し上げたフローで構成される問題提起から論理的解決までのプロセスを満たしているものは,大小にかかわらず十分に研究活動に値すると思います.すなわち研究というものは,われわれにとって非常に身近なものです.
しかし,その1つのテーマを広げ,深く掘り下げるためには,ある種のトレーニングが必要です.また,レベルの高い研究を遂行することや,その研究活動の継続にあたっては,十分な“専門性”が必要です.この専門性は,主に“学術的な知識”だけではなく“専門分野における経験”によって構成されると考えます.一方で,経験だけがあってもそれだけでは研究活動を遂行することは困難で,教科書レベルの知識から専門書レベルの知識,さらには専門学会へ参加して最新の知見を得るなどして豊富なデータをもっておく必要があります.そして,どのように研究を行うかについては,他者からのアドバイスや指導も必要になります.
さて本稿では,“専門性を活かした現場研究への展開”というテーマに沿って,いかに専門性をもち研究を遂行するか,自身のこれまでの経験を交えてご紹介します.甚だ恐縮ではありますが,いま研究を行っている方々や,これから研究にチャレンジしようと考えている方々にとって,少しでも参考になればと思います.
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