法医学からみえる"臨床"・10
生まれた子供は一体誰の子か?―乱れた男女関係に振り回された弁護士,鑑定人それに産院
高濱 桂一
1
Keiichi Takahama
1
1宮崎医科大学法医学教室
pp.77
発行日 1992年1月15日
Published Date 1992/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414900329
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事例:198○年11月3日民事事案
秋晴れの午後,弁護士の訪問を受けた.生後1年余りの子供をめぐる親子鑑定依頼である.妻花子,夫甲男それに子供太郎の3人を調べた結果,甲男は太郎の父親としては広義の血液型で3型に矛盾のあることが判明した.しかし花子は甲男の子だと言い張り,もし血液型が違うなら産院で子供を取り違えられたのだと主張した.すわ産院の新生児取り違い事件かと一同緊張し検査準備にかかっていたところ,弁護士から再び連絡があり,乙男を検査して欲しいと言う.教室に検査のため現れた乙男は見るからにしょげ返りただ1回関係しただけだと言う.検査結果は広義の血液型の4型に矛盾があり,太郎の父親ではないことが判明した.これはどうしたことかと訝しく思っていたところ,再び弁護士から連絡があり,会社の転勤で東京にいる丙男をそちらの大学で検査してもらった結果,真の父親と判明した.
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