JIM Case Records
不明熱を示し突然死した1例
木戸 友幸
1
,
川上 秀生
1
,
有馬 良一
2
,
北村 幸彦
3
,
倉田 明彦
2
,
春日井 務
3
1国立大阪病院内科
2国立大阪病院病理
3大阪大学病理学教室
pp.816-821
発行日 1991年11月15日
Published Date 1991/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414900265
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症例の要旨
患者:59歳,男性,会社員.
主訴:発熱.
既往歴:30歳時に胃切除.
現病歴:1990年5月上旬に3日間の38℃を越える発熱があり,国立大阪病院内科外来を受診した.解熱剤と抗生物質の投与を受けたが解熱せず,3kgの体重減少も認めたため,不明熱精査,治療の目的で,同年5月10日,入院となった.
入院時の身体所見は,身長170cm,体重56 kgで,胸腹部に異常なく,全身のリンパ節に腫腫はなかった.入院後も,連日,午後に38℃のスパイク状の発熱ぶあり,不明熱の一連の精査を行った後に数種の抗生物質の点滴静注を行ったが,無効であった.入院2週目に,肉眼的な血便が出現した.大腸ファイバーで,直腸癌(Borrmann 2型)の診断が得られた.手術が予定され,発熱は腫瘍熱によるものとして,Naproxen 600mg/日を投与したところ,ただちに解熱をみた.
6月28日,朝,突然の喀血が出現し,胸部X線写真に出血を示唆する陰影が認められた.この後,喀血は持続し,翌29日,早朝に呼吸状態が悪化した.午前8時に呼吸停止をきたし,心肺蘇生に反応せず,午前11時に死亡した.
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