シネマ解題 映画は楽しい考える糧[80]
「白い巨塔」
浅井 篤
1
1熊本大学大学院生命科学研究部生命倫理学分野
pp.190
発行日 2014年2月15日
Published Date 2014/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414103129
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プロフェッショナリズムとは何ではないか
本コラム『シネマ解題』はランダ・ヘインズ監督『ドクター』(1991年,米)で幕を開けました.有能だが自信過剰で思いやりに欠ける外科医が癌に罹患し,患者体験を通してつらさや不安,恐怖を味わい自らの弱さを知り,患者に対する優しさと共感の重要性を実感し,患者には細やかな援助が必要なことに目覚める物語です.作品のキーワードは疑いもなく共感でした.他にも医師の特権意識,病院の官僚主義,仕事と家庭の両立の難しさ,善意の嘘,医療訴訟など,数多くのことを考えさせてくれる作品になっていました.
本コラムでは他にも医師が主人公または主要な役柄として登場する作品を紹介してきました.ウォルター・サレス監督『モーターサイクル・ダイアリーズ』(2004年,英・米)では若きエルネスト・チェ・ゲバラが医療を志すまでが,熊井啓監督『海と毒薬』(1986年,日本)では医師の良心と葛藤と人間として許されない行為が,ソルヴェイグ・アンスバック監督『陽のあたる場所』(2004年,フランス他)では新人医師の患者への思い入れが,ニック・ハム監督『アダム』(2004年,米)では医の倫理を犯す医師が描かれました.
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