心原性失神

はじめに

　失神の原因はさまざまである．Framingham研究では，｢心原性失神の患者は，失神のなかった人と比べ，死亡のハザード比が2倍となり，心血管系イベントのハザード比は2倍以上であった．それに比べ，血管迷走神経性失神を起こした人は，死亡，心血管系イベントのハザード比ともに失神を経験しなかった人と同等であり，予後良好であった｣と報告されている^1）．この結果から，失神の診療において心原性失神を迅速に診断し，治療を行うことが重要となってくる．心原性失神と言っても原因疾患は多く（表1），治療も異なってくる．本稿では症例を提示し，どのような方法で診断治療に至るかを，ガイドライン文献^{2, 3）}に準拠するかたちで解説する．