特集 不明熱診療最前線―基本アプローチから「横綱級」困難症例まで―
【コモンな不明熱へのアプローチ】
「不明熱」で相談される困った外来症例
濱口 杉大
1
1江別市立病院総合内科
キーワード:
不明熱の質的定義
,
前医からの情報収集
,
結核
,
ニューキノロン
Keyword:
不明熱の質的定義
,
前医からの情報収集
,
結核
,
ニューキノロン
pp.478-481
発行日 2013年6月15日
Published Date 2013/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414102876
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Case
入院後,粟粒結核と診断された不明熱の症例
症例:78歳男性.妻と2人暮らし.
臨床経過:20年前から塵肺の診断を受けている.約2カ月前から倦怠感と食欲低下が出現し,37℃台の発熱も伴うようになったが日常生活は送っていた.3週間前に38℃台の発熱が出現し,軽度の咳嗽も伴ったため近医を受診し,感冒薬とレボフロキサシンを1週間分処方され,輸液を受けて帰宅した.その後,倦怠感,咳嗽は改善傾向にあったが,食欲低下が続くため点滴を希望して1週間前に同院を再受診した.白血球8,600/ml,CRP 5.6mg/dlであり,胸部単純X線写真では普段の塵肺の陰影を認めるのみであった.同処方が継続となり帰宅したが,食欲不振と微熱が持続し,寝汗も出現したため再受診し,不明熱として翌日紹介となった.赤沈102/時間,血液培養,自己抗体系の検査はすべて陰性であった.喀痰抗酸菌染色3回,結核菌PCRとも陰性であったが,入院6日後に施行した胸部CTにてびまん性小粒状影を認め,塵肺との鑑別が困難であったが,粟粒結核(J1)を疑い骨髄穿刺を施行したところ,細胞診で乾酪性肉芽腫の像が認められた.その後,骨髄液結核菌PCR陽性となり粟粒結核と診断した.
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