Editorial
かゆみも含めた多様な問題に対応できる「総合診療医」を目指して
伊藤 澄信
1
1国立病院機構本部総合研究センター臨床研究統括部
pp.99
発行日 2013年2月15日
Published Date 2013/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414102734
- 有料閲覧
- 文献概要
「かゆみは痛みの軽いもの」と習った世代には知識の大改訂が必要な時代になった.かゆみ特異的神経やかゆみに関する脳部位が特定され,透析患者のかゆみ治療薬としてκオピオイド受容体作動薬であるナラフラフィン塩酸塩(レミッチカプセルⓇ)が発売された.10年前のかゆみの知識はもはや通用しない.
日常診療でよく遭遇するかゆみは高齢者の皮脂欠乏性皮膚炎である.空気が乾燥する今の季節に多発する下腿を中心にした皮膚の乾燥によるかゆみに対して尿素入りクリームを乱発している.冬の空気の乾燥は皮膚角層のバリアも乾燥させ,皮膚表面に白い粉をふくような状態をつくりやすい.高齢者は角層細胞間脂質のセラミド,脂肪酸,コレステロールが減少し,さらに角層の層数が増加し,角層より下の生きた表皮から角層の表面までの水分の供給が少なくなるといわれる.
Copyright © 2013, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.