内科疾患と皮膚・7
かゆみ
西山 茂夫
1
1東大皮膚科
pp.898-901
発行日 1968年7月10日
Published Date 1968/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402202309
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
皮膚のかゆみには,皮膚病変に伴うもののほかに,肉眼的に認められるなんらの皮膚変化なしにかゆいものとがある.後者を皮膚?痒症(Prurituscutaneus)として総括している.この場合重要なことは,かゆい皮膚をかいているうちに生じてくる,いわば二次的な皮膚の変化を,皮膚疾患と混同しないことである.かいた結果生ずる皮膚の変化(Kratzeffekte)には,線状の表皮の剥離(爪のあと),点状の小出血斑が主であるが,かゆみががんこに続いている場合には,皮膚が肥厚し,時に苔癬化を生じ,また二次的な細菌感染を惹起して,あたかも皮膚疾患のような外観を呈することもあろ.また神経症の患者では,異常な掻破のために,潰瘍などの極端な人工的皮膚変化(Artefa-kt)を生ずることもある.このような掻破の効果および人工的皮膚変化を正確に把握し,本来の皮膚疾患と区別することは,皮膚科医にとっても,しばしば簡単ではない.ここで取扱うものは,皮膚病変を伴わない一次的な皮膚のかゆみである.
Copyright © 1968, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.