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『構造と診断―ゼロからの診断学』―岩田健太郎(著)
前野 哲博
1
1筑波大学附属病院 総合診療科
pp.23
発行日 2013年1月15日
Published Date 2013/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414102708
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最近,臨床推論に注目が集まり,診断学に関する本が数多く上梓されている.ただ,それらは,臨床診断に至るプロセスを理論的に記述したものや,「○○があれば△△病を疑う」といった実践的なマニュアル本であることが多い.本書は,そういった類書と一線を画し,著者の言葉を借りれば「メタ診断学」,つまり「診断する」という行為そのものに焦点を当て,診断とはそもそも何なのか,診断とはいかなる営為なのかを論じた本である.
ひとくちに「診断」といっても,実際の診療では患者ごとに一人ひとり病歴は違うし,いくら調べても診断がつかないことも多い.しかしながら,臨床医は診断がつくかどうかにかかわらず「決断」しなくてはならない.入院させるのか帰宅させるのか,薬を処方するのかしないのか,その場で決めなくてはならない.もっと悩まずに適切に診断をつけ,最良の医療を提供できる方法はないだろうか? もしも,臨床推論に関する本を片っ端から読みあさり,ハリソン内科学を全部暗記すれば,自信をもって診断をつけられるようになるだろうか?――答えは「否」であろう.
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