高齢者の水・電解質・体液管理の注意点

高齢者の体液管理は難しい

　高齢者の体液管理を行う際に，まず頭にいれておかなければならないことは，高齢者は若年者と異なり，体液量や電解質のバランスについての安全域が狭いということである^1）．つまり，輸液の量，電解質の量については常に注意を払っていなければ，ちょっとした輸液処方の不注意により，気づいた時には低Na血症になっていることや，肺水腫になっているということが容易に起こりうる．病院外の日常生活においても同様のことがあてはまり，高齢者が意識障害で救急受診し，低Na血症や高Na血症が原因であったということや，数日間の胃腸炎から腎前性の腎不全になっていたということは日常診療ではたびたび経験することである．