特集 家庭医のための循環器診療レベルアップ
ミニレクチャー
BNPの活用法
永井 利幸
1
,
香坂 俊
1
1慶應義塾大学医学部循環器内科
pp.296-297
発行日 2011年4月15日
Published Date 2011/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414102151
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BNPを臨床現場で使用するうえでの大前提
「BNP(brain natriurenic peptide,脳性ナトリウム利尿ペプチド)が高いから心不全」というプレゼンや循環器依頼が後を絶たない.循環器内科の病棟を担当していると週に一度はBNPにまつわる依頼を受ける.これは,BNPが心不全の診断に有用であるということが喧伝され,心不全を疑ったらBNPを必ず検査しなくてはならないという条件反射によるところが大きい.BNPは良きマーカー(道具)ではあるけれども,どんなに優れた道具であっても使い手を選ぶことは歴史が証明している(例:花咲か爺さん,わらしべ長者).
そもそもBNPの心不全診断に対する精度を検証した臨床研究(米国で行われたBNP研究などといった大規模臨床研究)での,心不全診断のゴールドスタンダードはなんであったのか? BNPの信頼を築いた臨床研究を俯瞰してみると,それは多くの場合,医師による身体所見や各種検査による臨床診断であった(だいたい2名の意見の一致などといった規定を設けている).すなわち,その2人の診断を100%正しいとして,感度と特異度を計算しているのである.BNPにお墨付きを与えているのは,実に古典的な問診や身体所見を取るといったアプローチだったことは肝に銘じる必要がある.
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