特集 ホスピタリストと病院総合医
米国におけるホスピタリストの誕生と確立―1996~2010年
大出 幸子
1
Gautam A. Deshpande
1
1聖ルカ・ライフサイエンス研究所 臨床疫学センター
キーワード:
ホスピタリスト(J1)
,
ホスピタリスト医療
,
LBP(Location-based Practice)
,
一般内科医による患者ケア
,
システムに根ざした医療(Systems-based Practice)
Keyword:
ホスピタリスト(J1)
,
ホスピタリスト医療
,
LBP(Location-based Practice)
,
一般内科医による患者ケア
,
システムに根ざした医療(Systems-based Practice)
pp.650-655
発行日 2010年9月15日
Published Date 2010/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414101986
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過去20年間,米国の医療において,一般内科医の変革ほど大きな医療変革は起こっていない.伝統的に一般内科医は米国の医療の中心に位置し,入院患者および外来患者の命を守るうえで中心的な役割を担ってきた.しかしながらここ10年で,古くから米国医療の中心を担ってきた成人のプライマリ・ケア医(PCP)―一般開業医,内科医,地域医療に携わる医師,家庭医など包括的に一般内科医と定義される医師グループ―は減少の傾向にある.この減少の要因はさまざまであり,プライマリ・ケア医による医療行為に対する診療報酬の減少,間接諸経費の上昇,書類事務作業の増加,自由時間の欠如と生活の質の低下,保険の有無によって意思決定を左右せざるを得ない状況などが影響因子として報告されている1).
一般内科を専門とする医師のなかで,過去10年間,ホスピタリストだけが増加しており,2006年の正職員ホスピタリストは2003年に比べて平均31%増加している2).1996年にThe New England Journal of Medicineにおいて,Dr. Bob WachterとDr. Lee Goldmanによってホスピタリストという用語が初めて紹介されてから,ホスピタリストは,全米において緩慢ながら確実に増加している3~4).
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