特集 昆虫などによる健康問題
【昆虫による疾患】
ダニ・シラミなどが媒介するリケッチア症―ツツガムシ病,日本紅斑熱,発疹チフス,Q熱
関川 弘雄
1
1新潟大学医学部医動物免疫学教室
キーワード:
4類感染症
,
熱性疾患
,
媒介動物
,
16sRNA遺伝子
,
血清型
Keyword:
4類感染症
,
熱性疾患
,
媒介動物
,
16sRNA遺伝子
,
血清型
pp.440-443
発行日 2009年6月15日
Published Date 2009/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414101707
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Case
播種性血管内凝固症候群(DIC)を合併したツツガムシ病の死亡例
患者:76歳,女性.
既往歴:1970年,関節リウマチ(RA)発症.
現病歴:2003年4月17日頃より,ふらつき感・構語障害(不明瞭で不適切な言葉遣いで,言葉を正確に発音できない)などが出現し近医受診.次第に症状が増強し,転倒頻回となり21日再度近医受診.翌22日総合病院の神経内科へ紹介受診.同日入院.
入院後経過:入院時(22日,神経内科)肝障害がみられたので,関節リウマチ治療薬による肝障害を疑い,別のリウマチ治療薬に変更.夕方から発熱を認め,発赤を確認.
25日(入院後4日目)β-ラクタム系抗菌薬などの薬疹を疑い,別のカルバペネム系抗菌薬に変更するも発赤は持続.血圧70/40mmHg台へと低下しドーパミン投与開始・輸液管理続行.
27日には乏尿の状態で利尿薬の効果みられず.
28日(入院後7日目)急性腎不全,敗血症性ショック,播種性血管内凝固症候群(DIC),多臓器障害として内科へ転移.ホスホマイシン,ミノサイクリンなど追加.持続的血液濾過使用も血圧低下により中止.17時45分全身性の痙攣出現とともに呼吸停止,18時死亡を確認.
病理解剖所見:右下腿皮膚の刺し口.血管内皮細胞損傷と血管壁や血管周囲に細胞浸潤(異型リンパ,成熟リンパなど).気管,肺,腸管などに出血,などの所見がみられた.
以上の経過,所見から死亡後にツツガムシ病と診断された.
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