感染症が見える! グラム染色に基づく抗菌薬療法[20]
発熱以外の症状に乏しい感染症
谷口 智宏
1
,
遠藤 和郎
2
1大阪医療センター免疫感染症科
2沖縄県立中部病院内科・感染症グループ
pp.628-633
発行日 2008年8月15日
Published Date 2008/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414101474
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
症例:78歳の女性,ADLは自立.
主訴:発熱.
【現病歴】来院5日前に雨に濡れてから,鼻汁と軽度の咽頭痛が出現した.感冒薬を服用するも,全身倦怠感が増悪し布団から起き上がれなくなったため,家族に連れられ救急センターを受診した.
【既往歴】子宮脱あり(手術歴なし).アレルギー・内服薬なし.
【生活歴】喫煙・飲酒なし.
【身体所見】身長 144cm,体重 53kg.バイタルサイン;血圧 150/40mmHg,脈拍 120/分,呼吸数 24/分,体温 39.3℃,SpO2 98%(室内気).全身状態;脱力様.頭頸部;貧血/黄疸なし,咽頭発赤なし,口腔内衛生は良好,頸部リンパ節腫脹なし.胸部;喘鳴(wheeze)・湿性ラ音(crackle)なし.心音;整,心雑音なし.腹部;平坦軟,圧痛なし.背部;CVA(肋骨脊椎角)叩打痛なし.会陰部;子宮脱あり.四肢;浮腫なし,出血斑なし.
【検査所見】血液検査;WBC 10,800/μl,Hb 12g/dl,Hct 38%,Plt 12×104/μl,Na 138mEq/l,K 3.3mEq/l,Cl 98mEq/l,BUN 19mg/dl,Cr 0.9mg/dl,Glu 126mg/dl,AST 26IU/l,ALT 18IU/l,CRP 9mg/dl.
尿検査;蛋白2+,潜血3+,アセトン2+,赤血球5~9/HPF,白血球1~4/HPF,菌なし.
胸部X線;浸潤影なし(図1).
Copyright © 2008, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.