1．思春期男性に特徴的な健康問題

　思春期とは小児期から成人期への移行期をさす用語であるが，身体的成長と性成熟という生物学的変化が起こる時期をさす場合（puberty）と，身体発育だけでなく精神的・社会的発達を含むより包括的な意味で使われる場合（adolescence）がある^1）．どのくらいの年齢をさすかも文献によりさまざまである^2～4）が，10歳前後（小学校高学年）から20歳前後（大学生）くらいまでをさすことが多いようである．

　思春期は，二次性徴が始まり完成するなど身体的・性的に大きな成長を遂げる時期であり，また心理社会的にも具体的思考から抽象的思考へ，親への依存から独立へ，仲間集団の付き合いから特定の交際相手との親密な付き合いへ，とダイナミックに変化する時期である．身体や性の成熟度と，認知発達・親からの分離・社会的行動の変化がパラレルに変化せずアンバランスであるため，思春期には大きなストレスを覚えるものである．