シネマ解題 映画は楽しい考える糧[3]
「X-MEN ファイナルディシジョン」
浅井 篤
1
1熊本大学大学院医学薬学研究部生命倫理学分野
pp.807
発行日 2007年9月15日
Published Date 2007/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414101258
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どんな状態が治療すべき病気であると,一体誰が決めるのか?
時代は近未来,遺伝的な突然変異のためにさまざまな特殊能力を持った新人類“ミュータント”が数多く存在し,人間による迫害や差別が頻発していました.他方,新人類による世界支配を謳うマグニート率いるミュータント集団は,人間に対する攻撃を行っています.主人公X-MENは,人間とミュータントの共存を説くテレパシー能力者が組織するミュータント集団で,マグニートたちが人間に危害を加えるのを防いでいます.この2つのグループの勢力が拮抗する中,ある研究所がミュータント遺伝子を恒久的に抑制し,彼らを普通の人類に戻す「キュア」というワクチンを開発します.そしてこの薬剤をめぐって戦いが起こります.
本作品はアクション映画であると同時に,異なる文化や能力,外見を持った存在がいかに共存していくべきかを問いかける作品です.近年,これほど多くの生命・医療倫理領域の問題を提示している作品も珍しいのではないでしょうか.
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