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Case
患者:68歳,男性.
主訴:歩行時の倦怠感と息切れ,下肢のしびれ.
既往歴:甲状腺機能低下症;15年前に発症.チラーヂン®処方されていたが内服量を自己調節.狭心症;10年前,冠動脈造影検査にて左回旋枝完全閉塞(側副血行あり).大腸癌;15年前,右半結腸切除術施行.高血圧(+),高脂血症(+).
処方歴:レボチロキシンナトリウム(チラーヂンS®)(50mg)2錠/1,ニコランジル(5mg)3錠/3,硝酸イソソルビド(20mg)3錠/3.
生活歴:40歳台で離婚してから一人暮らし.無職.アルコール;機会飲酒.たばこ;20本/日×40年.
現病歴:最近,歩行時に息切れ,胸部不快感や倦怠感を自覚することが多かった.また両下肢につるような症状もあり,休み休み歩行していた.3週間前からふらつき・倦怠感が強くなり浮遊感も出現.1日3,4回程度の下痢症状もあり,食事はあまり取れていなかった.これらの症状が増悪してきたため,かかりつけ医を受診したところ,甲状腺機能低下症の増悪,うっ血性心不全が疑われて,当院救急センターに紹介受診となった.
入院時理学所見:意識;清明,血圧114/70mmHg,脈拍82/分,呼吸数20/分,体温36.3℃,SpO298%(室内気).頭頸部;眼球・眼瞼結膜に貧血/黄染を認めず.口腔内う歯あり,舌乳頭やや萎縮あり.咽頭に異常なし,項部硬直なし,頸部リンパ節触知せず.頸部血管雑音を両側に聴取.胸部;呼吸音に左右差なく,雑音は聴取せず.心音は整,駆出性雑音LavineⅠ~Ⅱ度を認めた.腹部;圧痛なく,腫瘤触知せず.四肢;発疹・浮腫は認めない.
入院時検査所見:CBC;WBC 6,000/μl,Hb 14.2g/dl,Ht 41.4%,Plt 219,000/μl.生化学;Na 138mEq/l,K 4.5mEq/l,Cl 106mEq/l,BUN 6mg/dl,Cr 0.8mg/dl,Glu 83mg/dl,AST 21IU/l,ALT 9IU/l,T-Bil 0.6mg/dl,ALP 233IU/l,LDH 175IU/l,INR 1.04,APTT 32.6秒,TSH 17.859μU/ml,freeT4 0.47ng/dl,BNP 116.9pg/ml,トロポニンT(-),H-FABP(-).
胸部単純X線:CTR 57%,肺野に浸潤影なし.
心電図:V1~V2でQ波,Ⅱ・Ⅲ・aVf・V3~V6で陰性T波.
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