感染症が見える! グラム染色に基づく抗菌薬療法[10]
急性咽頭炎
谷口 智宏
1
,
遠藤 和郎
2
1大阪医療センター免疫感染症科
2沖縄県立中部病院内科・感染症グループ
pp.817-820
発行日 2007年10月15日
Published Date 2007/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414101223
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
- サイト内被引用
患者:52歳の女性,会社員.
主訴:悪寒と発熱.
【現病歴】来院当日の朝から寒気(chilly sensation)と倦怠感があり.夕方から悪寒(chill)と38.9℃の発熱を認め,頭痛と全身の関節痛も出現したため,救急センターを受診した.咳はないが,来院後より咽頭痛が生じてきた.
【既往歴】腎盂腎炎で50歳の時に入院.内服薬;なし.アレルギー;ウニで蕁麻疹.
【生活歴】喫煙・飲酒なし.
【身体所見】身長152cm,体重67kg.バイタルサイン;収縮期血圧80mmHg,脈拍102/分,呼吸数18/分,体温39.4℃,SpO2100%(室内気).全身状態;倦怠様だが意識障害なし.頭頸部;貧血/黄疸なし.両側扁桃の発赤と腫脹が中度あり.両側扁桃に滲出物が付着しているが,口蓋垂の偏位はなし.う歯なし.頸部リンパ節腫脹なし.項部硬直なし.胸部;喘鳴(wheeze)・湿性ラ音(crackle)なし.心音;整,心雑音なし.腹部;平坦軟,圧痛なし.背部;CVA(肋骨脊椎角)叩打痛なし.皮膚;皮疹なし.
【検査所見】血液検査;WBC 13,500/μl,Hb 13g/dl,Hct 38%,Plt 27×104/μl,Na 138mEq/l,K 4.0mEq/l,Cl 98mEq/l,BUN 9mg/dl,Cr 0.7mg/dl,Glu 118mg/dl,AST 18IU/l,ALT 24IU/l,CRP 1mg/dl.鼻腔インフルエンザ抗原;陰性.胸部X線;浸潤影なし.尿検査;白血球1未満,菌なし.滲出物のグラム染色(図1);多核白血球(PMN)1~2+,矢印の菌2+.
Copyright © 2007, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.