特集 抗菌薬の考え方,使い方—ホントのところを聞いてみました
呼吸器感染症
急性咽頭・扁桃炎
岸田 直樹
1
1一般社団法人Sapporo Medical Academy
pp.966-970
発行日 2016年6月10日
Published Date 2016/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402224209
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Question 1
原因微生物の診断のために,何をどこまでやるのでしょうか? A群溶連菌迅速検査や培養検査は全例するのでしょうか? ホントのところを教えてください.
急性咽頭・扁桃炎をきたす微生物はウイルスから細菌まで多岐にわたりますが,実際に治療適応があるのは,原則A群溶連菌のみとされます.よって,まずはA群溶連菌かどうかがわかればよいのですが,みなさんもご存じの通り,診断基準としてCentor Score(表1)があります.このスコアリングシステムに則って診療するとすれば,溶連菌かどうかが微妙である2点もしくは3点で迅速検査をするとよいことになります.しかし,迅速検査の感度は70〜90%程度とされ,十分とはいえません.そこで迅速検査が陰性でも溶連菌が強く疑われる場合には,培養検査を出して判断することがよく提示されます.しかし,培養検査は時間がかかりますし,日本ではこの2つの検査を同時に行うことは保険適用外となり,正直現実的ではありません.ではどうすればよいでしょうか?
ホントのところ,簡単に言ってしまえば「Centor Scoreが2点か3点の患者さんに迅速検査を行い,原則初診時には培養検査は行わない」で良いでしょう.良くならない咽頭・扁桃炎患者,免疫不全患者,高齢者では培養検査を検討するとなります.
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