特集 体重減少へのスーパー・アプローチ
体重減少の鑑別診断
郡 義明
1
1天理よろづ相談所病院総合診療教育部
キーワード:
食事摂取量の減少
,
栄養素の吸収不良
,
栄養素の利用障害・代謝障害
,
代謝の亢進
,
栄養素の喪失
Keyword:
食事摂取量の減少
,
栄養素の吸収不良
,
栄養素の利用障害・代謝障害
,
代謝の亢進
,
栄養素の喪失
pp.554-558
発行日 2007年7月15日
Published Date 2007/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414101158
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体重減少をきたす疾患・病態は,器質的疾患のみならず,加齢や心因性のものも含めて非常に多岐にわたる.やみくもに検査するのは,非常に効率も悪い.ポイントを押さえてステップを踏んで診療することが重要だ.
体重減少の成因と原因疾患(表1)
消費エネルギーが摂取カロリーを上回れば,体重減少が起こる.したがって摂取カロリーの減少,エネルギー消費の増大,あるいはその両者の合併で体重減少は起こる.摂取カロリーの減少は,食事量の減少,あるいは栄養素の吸収不良による.エネルギー消費の増大は,代謝の亢進あるいは栄養素の喪失によって生じる.また上記以外に,代謝異常により栄養素の利用効率,エネルギーの産生効率が低下すれば,結果としてカロリーバランスは負に傾き体重減少が生じる1).多くの慢性疾患や悪性腫瘍では,食欲不振による食事量の低下と代謝亢進の両者によって体重減少が起こる2,3).高齢者における体重減少の3大原因は,良性の消化器疾患,悪性腫瘍,うつ病を主とする精神疾患である4).そのほか日常臨床でよく見られる疾患としては,糖尿病,甲状腺機能亢進症,慢性炎症性疾患,肺気腫などがある.
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