特集 Generalist必携 睡眠障害へのアプローチ
TOPICS
小児の睡眠障害への対応のポイント
三池 輝久
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1熊本大学医学薬学研究部小児発達分野
pp.231-232
発行日 2004年3月1日
Published Date 2004/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414101120
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小児における睡眠障害
小児期における睡眠の質的・量的障害は,大まかにdyssomnias(寝付きが悪い,しばしば目が覚める,過眠など),parasomnias(夢遊病,悪夢など)に二分できる1).後者を除いてこれまで,小児期の睡眠障害についてはほとんど関心が払われてこなかった歴史がある.しかし近年に至り,小児期から思春期にかけて,比較的特殊な状態においては睡眠障害が重要な意味をもつことが知られてきた.たとえば,学習障害,脳性麻痺,視力障害,神経精神的な問題をもつ場合,ADHD(注意欠陥/多動性障害),虐待・いじめなどの後遺症としてのPTSD(外傷後ストレス障害),うつ状態,自閉症などの発達障害,さらに乳幼児期から一般的な精神心理的な問題を抱えた子どもたちにしばしば認められることが注目されてきた2).これはとりも直さず,睡眠障害がさまざまな精神身体的問題を引き起こす可能性を示唆していることにもなる.
小児期における睡眠が注目されはじめたことは小児科医として喜ばしいことである.しかし現実的には,小児期における質的・量的睡眠障害が一見健康とみられる子どもたちにも普遍的で切実な問題として急速な広がりをみせ,社会問題として深刻な状況になっている事実がまだ十分に認識されていないことが残念である.睡眠障害は子どもたちのメンタルヘルスケア,学習・記銘機能など高次脳機能(皮質)の健康な発達に大きな影響を与える重大問題として浮上してきている3).正常な睡眠が妨げられることは,子どもだけではなく両親にも日常生活上大きな影響を与えることが知られている4).
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