EBM時代の生薬・方剤の使い方 [第2回・方剤編]
桂枝加朮附湯
大竹 哲也
1
1大竹ペインクリニック
pp.163-166
発行日 2004年2月1日
Published Date 2004/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414101107
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桂枝加朮附湯は桂枝湯が基本となっている方剤で,これに附子と朮を合わせたものである.『傷寒論』で桂枝湯は体力が低下した虚弱な人が熱病にかかり,悪寒,発熱,頭痛,のぼせ,身体の痛みなどを訴え,自然に発汗する場合などに良いとされている.すなわち,老人などの虚証(J1)の風邪で太陽病期(J2)に良いとされている方剤である.これに附子と朮を合わせた桂枝加朮附湯は,古典的には体力低下・虚弱体質,冷え症で四肢や関節の腫脹・痛みがあり,寒冷で増悪したり四肢の運動障害を伴う場合や,小便不利などの水毒がある者に処方される漢方薬である.
臨床:疾患に対する効果
帯状疱疹後神経痛(PHN)
発症後1カ月以上経過したPHN患者57例を桂枝加朮附湯投与群(27例)と非投与群(30例)に分けて疼痛の推移を比較検討した.両群の平均年齢および男女比には有意差がなかった.また,両群とも神経ブロック治療は帯状疱疹急性期に引き続き適宜行いながら,原則として(三環系)抗うつ薬を投与した.投与開始前の痛みの強さを10として1カ月後および2カ月後のペインスコアを比較した.2カ月後のペインスコアの平均値は,桂枝加朮附湯投与群は非投与群との比較で有意差が認められた(図1).また有効度の比較では,桂枝加朮附湯投与群で著効51.9%,有効25.9%,やや有効22.2%となり,非投与群(著効10.0%,有効36.7%,やや有効53.3%)と比較すると有意に有効であった1).
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