特集 医師と法律 トラブル防止の心得と対策
【ケーススタディ】
⑤間違いだらけの死亡診断書
勝又 義直
1
1科学警察研究所
キーワード:
直接死因
,
原死因
,
WHOの原死因の定義
,
ICD10
,
死因の種類
Keyword:
直接死因
,
原死因
,
WHOの原死因の定義
,
ICD10
,
死因の種類
pp.416-417
発行日 2007年5月15日
Published Date 2007/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100941
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【Case1】
58歳の男性が,工事現場の足場から転落して頭部を強く打撲し,脳挫傷のために植物状態となった.そして入院3カ月後に肺炎を併発して死亡した.男性は糖尿病で治療中だったが,仕事に就いていた.
このようなケースは,入院が長く,直接死因が肺炎なので,単純な病死の扱いになりやすい.しかし植物状態となった場合には,肺炎を起こしやすく,また糖尿病があれば感染症への抵抗力も低下していて死亡に至ることは十分に考えられる.この場合には,死が起こった一連の事象の起因となったのは転落事故なので,原死因は「足場からの転落」となる.
死因の種類は,原死因で分類するため,不慮の外因死のうち「3 転倒・転落」を選択する(図1).外因死の場合,死亡時点で,医師に異状死体届出義務(J1)が発生する.死亡の24時間以内に所轄警察署に連絡しなくてはならない.連絡は電話など口頭でよい.
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