在宅医療技術の進歩16
成人気管支喘息の在宅ケア
灰田 美知子
1
1半蔵門病院アレルギー呼吸器内科
pp.365-372
発行日 2004年4月1日
Published Date 2004/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100799
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喘息は,医師の指導に基づいた在宅管理が重要であるが,同時に病院と主治医の役割を明確にする必要がある.喘息に診断基準はないが,定義として「気道の慢性炎症に起因する気道狭窄,気道過敏性」を有し,臨床的には「咳,喘鳴,呼吸困難を繰り返し,自然に,または治療により可逆性を示す」.「好酸球,T細胞,肥満細胞,気道上皮細胞,種々の液性因子」が病態に関与し,繰り返す気道炎症は気道構造の変化(リモデリング)を惹起する.気道炎症とリモデリングは気道過敏性の原因となり,治療の基本もこの炎症への長期的な対応を重視する.
基本方針
治療法は主治医と相談して決定し,経過は「喘息日誌」に記録する.症状が安定しても発作の予防法や対応法を学び,受診すべき発作の程度を医師と協議する.かかりつけの病院を受診できない時に備えて患者カードを携帯し,定期的に用いている薬剤,発作時の処置,禁忌薬剤,定期通院先の住所と主治医名などを記載する.感受性のある特異的アレルゲンや非特異的刺激の回避方法を体得する.非発作時は健常人と変わらず,周囲の理解が得にくいので,あらかじめ学校や職場に発作時の対応を説明しておくとよい.治療薬の誤用がないように,患者と家族は予防と管理方法を学習する必要がある.
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