今月の主題 病原微生物の迅速検査
話題
生物発光を用いた結核菌の迅速薬剤感受性測定
山崎 利雄
1
Toshio YAMAZAKI
1
1国立感染症研究所ヘンセン病研究センター病原微生物部
キーワード:
アデノシン三リン酸(ATP)
,
結核菌
,
薬剤感受性試験
Keyword:
アデノシン三リン酸(ATP)
,
結核菌
,
薬剤感受性試験
pp.197-199
発行日 2003年2月15日
Published Date 2003/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542100907
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1.はじめに
1%小川培地を基礎培地に用いているわが国の現行結核菌薬剤感受性試験法は,判定までに2~4週間を要し,判定にも技術者の熟練を要し,また個人差が出やすい.さらに,判定時期を遅らせると耐性と判定されやすいなどの問題がある.米国疾病管理予防センター(Centers for Disease Control and Prevention;CDC)は,結核菌薬剤感受性試験結果は,検体が検査室に提出されてから15~30日以内に報告されなければならないと勧告している1).結核菌薬剤感受性試験の迅速化のために,バクテック法(ベクトン・ディッキンソン),ミジット法(ベクトン・ディッキンソン),ブロスミックMTB-1法(極東製薬工業)といった,液体培地を用いた迅速な試験法が報告され実用化されている.しかし,バクテック法は,放射能を用いるため,わが国では導入されていない.ミジット法は,供試菌液調整条件と判定日が厳格に規定されているし高価である.ブロスミックMTB-1法は,感性菌と耐性菌の明確な判定基準濃度が確立されていないなどの問題がある.そこでわれわれは,生物発光による結核菌の薬剤感受性試験法の実用化をめざし検討2~4)を重ね,簡便で数値化による客観判定ができ,しかも5日間で判定可能な方法を確立した.この新しい結核菌の迅速薬剤感受性試験法について紹介する.
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