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Case
1.診断を見逃されていた脳腫瘍による頭痛
患者は5歳の女児.1カ月半前から不機嫌で頭痛を訴えていた.時々,頭を傾けたり,頸部を痛がることがあり,転びやすく,茶碗を持つ手がふるえるようにもなった.嘔吐はなかった.診察時,不機嫌で,協力的でないため十分な診察ができなかったが,明らかな麻痺や失調はなく,手のふるえも診察中はみられなかった.頭部CT検査では,体動のため後頭蓋窩にアーチファクトがみられたが,明らかな異常はないと考えていた.
その後,頭痛のため深夜に救急外来を受診することがあった.初診から約2週間後,意識レベルの低下で来院,頭部CTで脳室の拡大と橋の腫大が認められ,橋グリオーマと診断された.頸部の痛みは腫瘍細胞の髄膜播種が考えられた.
当初は頸部の痛みもあり緊張型頭痛を考えたが,約1カ月半前から進行する頭痛と神経症状で,頭蓋内占拠病変を考えるべきであった.不十分な画像検査を再検する必要もあった.頭蓋内圧亢進症状は日により変動があり,診察時には必ずしも異常を呈さないことを考慮すべきであった.
2.発熱と頭痛・嘔吐
患者は10歳の男児.前日から鼻汁と微熱があった.早朝から頭痛があり,嘔吐もみられたため,救急外来に受診した.発熱38.5℃.診察上,咽頭の軽度発赤があるほかは異常を認めなかった.点滴を受けていったん帰宅したが,頭痛と嘔吐が続くため同日夜,来院した.診察上,項部硬直を認めた.他には眼底検査も含め,神経学的に異常を認めなかった.髄液検査で単核球優位の細胞増多を認めた.糖は正常だった.血液検査では白血球の増多はなくCRPも陰性であった.無菌性髄膜炎として入院加療した.
3.拍動性で片側性の繰り返す頭痛
患者は15歳の女性.繰り返す頭痛のため受診した.頭痛は1,2年前からみられ,拍動性で右の前頭から頭頂にかけてあった.通常,数時間から約半日続き,眠ると痛みが軽くなった.新学期になってクラブ活動が忙しかったという.神経学的診察に異常なく,片頭痛と診断した.睡眠時間をしっかりとることなどの生活指導と急性期の薬剤の使い方を指導した.
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