聖路加国際病院Terminal Care Conference(第28回)
自殺企図のみられた進行期胆囊癌の57歳男性
熊倉 香
1
,
岡田 定
1
,
大東 誠司
1
,
櫻井 健司
1
,
南 由起子
1
,
加藤 楽
1
,
池田 真人
1
,
西田 知佳子
1
,
大高 正裕
1
,
川名 典子
1
,
市丸 みどり
1
,
日野原 重明
1
,
太田 大介
1
1聖路加国際病院
pp.389-397
発行日 2003年4月1日
Published Date 2003/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100600
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
太田(司会) 今月のターミナルケア・カンファレンスを始めたいと思います.今月は外科のケースです.担当医の熊倉先生,プレゼンテーションをお願いします.
症例呈示
熊倉(担当医) 患者さんは自殺企図のみられた進行期胆囊癌の57歳の男性です.プロフィールとしては,建設業の方で,奥様と二人暮らしをされており,お子さん3人は自立しています.キーパーソンは奥様でした.
現病歴ですが,昨年8月に心窩部不快感と,高度の黄疸のために近医を受診されました.腹部CTにて胆囊内に直径2 cm大の腫瘤性病変が認められ,経皮的胆囊ドレナージが施行されました.その時の胆汁細胞診でクラスⅤが出て,胆囊癌と診断されています.ご本人,ご家族が当院での診療を希望され,同年9月6日当院外科外来を受診されました.その時緊急入院となり,9月9日の腹部CTで大動脈周囲リンパ節の転移が指摘され,stageⅣで根治手術は不可能と判断されました.その時点でご本人にもこのことを説明し,手術するか,しないかという判断を待つことになりました.結局手術はしないということで,9月13日に胆管内ステント挿入術が施行されました.ステント挿入後は減黄がみられ全身状態が改善したので,9月28日に一度退院されています.
Copyright © 2003, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.