特集 いま日常診療で注目すべき原虫症・寄生虫症
原虫・寄生虫感染患者へのアプローチ
平田 哲生
1
,
斎藤 厚
1
1琉球大学医学部第一内科
キーワード:
輸入寄生虫症
,
幼虫皮膚移行症
,
糞便検査
,
オーファンドラッグ
Keyword:
輸入寄生虫症
,
幼虫皮膚移行症
,
糞便検査
,
オーファンドラッグ
pp.205-207
発行日 2003年3月1日
Published Date 2003/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100553
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
Case
中国旅行から帰国後,下痢・腹痛・嘔気が出現した28歳男性
症 例:28歳,男性.
現病歴:8日間中国に旅行し,帰国1週間後より1日十数回の下痢・腹痛・嘔気が出現し,当院受診となった.
来院時身体所見:発熱はなく,腹部圧痛も認めず.腸音が亢進している以外はとくに異常所見は認めなかった.
経 過:糞便検査でサイクロスポーラとヒトブラストシスティスが検出された.サイクロスポーラ症に対しST合剤を,ヒトブラストシスティスに対しメトロニダゾールを投与し,1週間後には軽快した.
かつてわが国でも蔓延していた寄生虫感染症は,高度経済成長に伴う生活水準の向上,衛生環境の整備,集団駆虫などの寄生虫対策の強化などにより,現代では稀な疾患となっている.そのため医療関係者の寄生虫疾患に対する関心は低く,対応に苦慮しているのが現状である.しかし,現在でもなお存在し続ける寄生虫疾患もある.たとえばアニサキス症,横川吸虫症,顎口虫症,肺吸虫症などは比較的よくみられ,北海道ではエキノコックス症,沖縄・奄美地方では糞線虫症は日常的に遭遇する疾患である.また,国際化に伴い,2000年には年間1,780万人が海外に渡航し,470万人が海外より入国するようになり,日本にはほとんど存在しない疾患も認められるようになった.そこで本稿では,輸入寄生虫疾患も含めた寄生虫感染患者について診断・治療などへのアプローチについて述べてみたい.
Copyright © 2003, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.