特集 プライマリ・ケアにおける精神疾患 generalistと精神科医のコラボレーション
【プライマリ・ケアでの精神疾患診療のポイント】
③説明困難な身体症状の診療―心気症例を中心に
飯島 克巳
1
1いいじまクリニック
キーワード:
心気症
,
説明困難な身体症状
,
身体心理社会的モデル
,
ナラティブ・ベイスト・メディスン(J1)
,
不定愁訴
,
自律神経失調症
Keyword:
心気症
,
説明困難な身体症状
,
身体心理社会的モデル
,
ナラティブ・ベイスト・メディスン(J1)
,
不定愁訴
,
自律神経失調症
pp.472-477
発行日 2006年6月1日
Published Date 2006/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100359
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Question & Answer
Q:説明困難な身体症状を訴える患者に対する診療のポイントは何ですか?
A:身体医学の枠組みから離れ,身体心理社会的モデルを用い,精神医学を含めた全科的評価・生きがいを含めた心理学的評価・社会学的評価を行い,患者への統合的な医療を行うことです.
当クリニックでの本患者へのアプローチ
■基本的な診察
小柄で小太り,やや猫背の患者は,メモを見ながら不安そうな表情で,訴えるように早口で語った.項部から左頭頂部にかけての重苦しい頭痛は,週に2~3回現れ,4時間くらい続く.胸の痛みは,家の片づけなど何か動作をする時に,月に1~2回現れ,数時間続く.
身体診察所見では,眼瞼結膜に軽度の貧血を認めた.甲状腺やリンパ節の腫脹はない.血圧は148/92mmHgと高めだが,脈数は70/分であった.左肩関節に軽度の圧痛があり,軽度の可動域制限を認め,肩関節周囲炎が強く疑われた.食はもともと細い方だが,とくに最近落ちたということはない.睡眠に変化はない.しかし,宗教活動の集まりや生け花の会へは欠席がちになっている.
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