特集 失神診療をきわめる
臨床現場から伝える失神症例
②胸部急性大動脈解離の76歳女性
森澤 健一郎
1
,
箕輪 良行
1
1聖マリアンナ医科大学病院救急医学
キーワード:
心血管系疾患による失神
,
急性大動脈解離
,
診察のポイント
Keyword:
心血管系疾患による失神
,
急性大動脈解離
,
診察のポイント
pp.295-297
発行日 2005年4月1日
Published Date 2005/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100313
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Case
患者:76歳,女性.
既往歴:特記事項なし.
主訴:嘔吐,失神.
現病歴:自宅で入浴後に胸部不快感を訴え休んでいたが,嘔気を訴え,トイレで嘔吐した後に約4分間の失神を生じたため,救急搬送された.
身体所見:GCS-E3V5M6,血圧114/72 mmHg,脈拍104/分,呼吸回数24/分,SpO2 100%(酸素5 l投与下),体温36.4℃.眼瞼結膜に貧血あり,瞳孔径は両側同大2 mm,対光反射は両側迅速.胸部聴診では湿性ラ音・心雑音を聴取せず,腹部は平坦・軟であった.四肢の筋力低下はなく,神経学的異常所見を認めなかった.失禁あり.冷汗あり.
血液検査所見:WBC 9,600/μl,Hg 11.7 g/dl,Hct 36.0%,AST 92 IU/l,ALT 41 IU/l,LDH 538 IU/l,CK 54 IU/l,CRE 0.6 mg/dl,BUN 14 mg/dl,Na 137 mEq/l,K 3.3 mEq/l,Glu 236 mg/dl.
標準12誘導心電図:Ⅱ,Ⅲ,aVF,V5,V6誘導にてT波陰転.
画像所見:胸部単純X線写真;肺野に異常所見なし.頭部CT検査;明らかな異常所見なし.
経過:入院後に呼吸苦を訴え,心室細動を生じた.心肺蘇生法を施行したが効果なく,死亡確認に至った.
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