レジデントCase Conference
食欲不振を伴う痴呆症状で入院となった80歳女性
坂本 和太
1
,
仲里 信彦
2
,
服部 英敏
2
,
徳田 安春
2
1岩手県立中央病院内科
2沖縄県立中部病院内科
pp.1008-1011
発行日 2005年12月1日
Published Date 2005/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100215
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初療医はまず,食欲不振と痴呆症状を分けて考え,それらの原因検索を行った.一般身体所見上,難聴と結膜の貧血を疑わせる所見以外の症状に乏しく,血液検査所見では元々の再生不良性貧血に伴う汎血球減少はみられるもののその悪化はなく,低蛋白血症と軽度のLDHとALPの上昇のみがみられるが,電解質異常はなかった.胸部単純X線写真でも明らかな異常所見はみられなかった.そこで,食欲不振の精査において,胃癌の既往もあることから上部消化管内視鏡と大腸内視鏡検査を行った.しかし,結果は胃癌術後の吻合部の発赤のみで食欲不振の原因となるような器質的疾患は認めなかった.また,痴呆の鑑別として頭部単純CTも施行したが軽度の脳萎縮を認めるのみであった.入院後,補液による脱水の改善とともにわずかに食欲は改善したものの,食欲低下と痴呆の原因に対する鑑別や精査方法について,上級医へコンサルトした.
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