皮膚科医直伝Ⅱ 教科書では教えてくれないコツ[8]
褥瘡超入門 週1回の診察で治す!? 忙しい一般医と患者家族のための簡単マニュアル
中村 健一
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pp.631-634
発行日 2005年8月1日
Published Date 2005/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100126
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「アー,こうすればいいのか.マニュアルは重要だね…」
褥瘡の治療に関する解説書は実に豊富である.なんだか,解説書のとおりに処置すればすぐ治せるような錯覚を覚える.筆者はある精神科病院の皮膚科も担当しているので,この種のマニュアル本は大変参考になる.でもこれには意外な落とし穴があるのだ.
褥瘡患者は歩いてやって来ない
そう,「毎日褥瘡をやっている医師」にとっては大変参考になる本である.でも,ちょっと待ってくれ! 開業医,一般医,往診している医師などはせいぜい週1回の診察・処置が限度ではないか?
熱傷患者のように,スタスタ歩いて外来受診できる患者なら毎日確認できる.臨機応変,種々のドレッシング材料を用いて,時には外科的手段も用いて治療できる.しかし,残念ながら褥瘡患者は「歩いて」外来には来ない.家族がやっとの思いで患者を担いで来る.しかも1,2週間に1回程度だ.つまり第一線では毎日観察,状況に応じて外用方法を変更することなど不可能に近いのである.
分厚い解説書に載っている褥瘡の手技を実践できるほど余裕のある医師はあまりいない.褥瘡現場はテキストの法則があてはまるほど楽ではないのだ.
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