交見室
高齢者医療への思い/Dr.John W.Duckettの訃報に接して
北島 清彰
1
1医療法人若鮎北島病院
pp.434-435
発行日 1997年5月20日
Published Date 1997/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413904401
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春の学会シーズンになり,私たちの周囲もなにか慌ただしくなってきました。甲府で開催されましたストーマリハビリテーション総会が終わり,いよいよ学会本番,4月からはAUA,日本泌尿器科学会総会を始めとして次から次へ学会,研究会,講演会と続きます。医療法人病院の医師として,また経営者として,勉強はしたいが医業収益は確保したい。体が2つ欲しいと最も感じる時期です。
私たちは今年の春は高齢者の排尿状態についてのデータをまとめ,発表を予定しています。そんななか先日ある新聞で,「自力で経口摂取ができなくなった高齢者に経鼻栄養チューブを用いなかった。この患者さんが死亡したのは"消極的安楽死"にあたる」と,大々的に取り扱われたことがありました。当事者の医師(私にとっては老人医療の先生になります)には,高知県高齢者医療研究会を通じて私は親しくしていただいています。当医師は「高齢者のターミナルケアで一番大切なことは人間性であり,患者さんの人間としての尊厳を傷つけてはならない。人間性を損なう栄養チューブを用いるより,何とか経口摂取で栄養を摂るように皆で努力しなけれぼいけない」と常々述べていらっしゃいます。
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