交見室
こどもの包茎についての考え方
高橋 剛
1
1聖マリアンナ医科大学泌尿器科
pp.845
発行日 2002年9月20日
Published Date 2002/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413903625
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本誌第56巻第5号の本欄で「小児包茎手術の適応」という表題で大阪医科大学,勝岡先生の御意見があったので,それに対し少しコメントを試みたい。包茎の手術適応については,本欄でも度々意見が交わされており,小児泌尿器科学会でもシンポジウムを2回組んでいるが,いまだコンセンサスを得た結論が出ていない。前回の同学会(昨年7月)では会員多数の意見として,全国レベルでの指針を設けるべきだとの提言が出されている。全体の流れとしては保存的療法を主体にする傾向であるが,「たかが包茎」と思われているためか指針作りまでに至っていないのが実情である。
包茎を歴史的に振り返ると,世界では世紀前から割礼として包茎手術の記録があり,古くからの宗教的背景をもっていることがわかる。イスラム教,ユダヤ教の割礼は現在も宗教的規約として厳に守られており,毎年10億人が割礼を受けているという(マレク・シュベル著「割礼の歴史」明石書店)。アメリカでは新生児期に包茎手術を行うことが多いが,宗教的理由はなく,習慣的なものといえる。アジアでは韓国とフィリッピンも同じようなやり方をしているようで,これはアメリカの影響といえよう(寺島 和光:臨泌55:276-277,2001)。
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