今月の主題 抗生物質の使い方
内科的感染症における抗生物質の使い方
敗血症
青木 隆一
1
1大阪市立桃山病院
pp.2458-2459
発行日 1988年10月10日
Published Date 1988/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402222150
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■敗血症と不明熱
受持患者の「不明熱」に苦悩した経験をもつ臨床家は少なくない.この不明熱患者のなかに,重症感染症としての敗血症がある.近年,基礎疾患をもつ,いわゆるimmunocompromised hostの感染が入院感染症の主流となり,また薬物や諸検査,処置,手術による医原性の感染症も増え,これらのなかに占める敗血症の比重が高まり,かつ変容してきた.したがって,最近の傾向として,血中からの分離菌には平素無害菌ともいわれる弱毒の微生物が増え,とくにグラム陰性桿菌,真菌,嫌気性菌の検出も増えてきた.また第3世代のセフェム剤の多用から,一時期減っていたグラム陽性菌が再び増加の傾向を示している1,2).他方,"複数菌感染(polymicrobial infection)"のみられる敗血症の増加など,最近の動向,変貌を考慮して敗血症の診断治療を行うべきである.
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