増刊号特集 泌尿器科手術における合併症管理のすべて
Ⅳ.術後合併症とその管理
3.呼吸器系
肺塞栓症
松田 祐一
1
,
山中 望
2
Yuichi Matsuda
1
1神鋼病院循環器科
2神鋼病院循泌尿器科
pp.289-292
発行日 2001年3月30日
Published Date 2001/3/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413903237
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1 はじめに
肺塞栓症とは,血栓,脂肪,腫瘍,空気,羊水,細菌,異物など種々の塞栓子が肺循環に流入し,肺動脈を閉塞することにより急性右心不全を呈する疾患で,なかでも静脈内や心腔内に形成された血栓が遊離し,急激に肺血管を閉塞する肺血栓塞栓症(pulmonary thromboembolism:以下,PTE)が最も頻度が高く,通常,肺塞栓症といえばPTEを指す1)。PTEは,従来,本邦では稀な疾患であったが,近年では決して稀ではない。突然死も多く死亡率が高い一方,診断率が低く見逃しが多い。特に術後合併症のPTEは広汎型や劇症型が多く,死亡率も29%と高い2)。しかし,発症時は重篤でも急性期を乗り切れば予後は比較的良好なので,早期の確定診断と治療開始が必要不可欠である。
本稿では,術後合併症のPTEとその管理について述べる。
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