増刊号特集 泌尿器科外来診療—私はこうしている
Ⅴ.外来診療のポイント
前立腺炎,前立腺痛
松本 哲朗
1
Tetsuro Matsumoto
1
1産業医科大学泌尿器科
pp.185-189
発行日 2000年3月30日
Published Date 2000/3/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413902920
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1 はじめに
前立腺炎は泌尿器科外来で最も多くみられる疾患の1つであるが,その病態には不明な点が多く,診断・治療において混乱がみられている。前立腺炎は種々の病態が混在していると思われ,最近では前立腺炎症候群として広く取り扱われている。臨床病型としては1978年以来,Drackの分類が用いられてきた。すなわち,急性細菌性前立腺炎,慢性細菌性前立腺炎,非細菌性前立腺炎,前立腺痛(プロスタトディニア)である。
しかし,最近,米国NIHのガイドラインでは表1に示すような分類が用いられている。このガイドラインでは,慢性前立腺炎をchronic pelvic pain syndromeと同義語として用い,痛みを最も重要な症状として位置付けている。また,慢性前立腺炎をさらに炎症性と非炎症性に分けて,いわゆるプロスタトディニアという診断名は用いていない。さらに,前立腺肥大症や前立腺癌などに合併し,病理組織学的に診断された炎症をasymptomatic inflammatory prostatitisとして分類している1)。
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